p4cみやぎ「p4cだより」no.46
令和5年7月26日
p4cみやぎ6月研修会報告
2023年度スタート!p4cみやぎ研修会(オンライン)
梅雨入り後、蒸し暑い日々が続く中、6月28日(水)に29名の参加者をお迎えして、本年度第1回目となるp4cみやぎ研修会がオンラインで開催されました。
研修Ⅰでは、宮城教育大学 幼児教育学 教授上廣倫理教育アカデミー所長 佐藤哲也先生から、「『架け橋期』(幼小接続期)における探究の対話(p4c)」の展開」というテーマで話題提供をいただきました。研修Ⅱは、参加者を3つのグループにブレイクアウトしてp4cの体験を行いました。
本年度、今回を含め年6回の研修会の開催を予定しております。探究の対話(p4c)をとおして皆様と多くの学びを共にしたいと思います。
数多くの皆様のご参加をお待ちしております。
【研修Ⅰ】
話題提供:「『架け橋期』(幼小接続期)における探究の対話(p4c)の展開」
講師:宮城教育大学 幼児教育学 教授
(上廣倫理教育アカデミー所長)
佐藤 哲也 先生
・懸け橋プログラム『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』を問う
幼児期の教育をめぐる政策動向、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の設置、「架け橋プログラム」の作成、「架け橋期のカリキュラム」と〈10の姿〉についてお話がありました。
〈10の姿〉とは、要領・指針に示されている〈①健康な心と体、②自立心、③協働性、④道徳性・規範意識の芽生え、⑤社会生活との関わり・・・〉など10項目の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」であり、架け橋委員会によってその共通理解が繰り返し要請されている。しかし、〈10の姿〉は学術的根拠に乏しい、言うなれば「国定子ども像」である。国から“あてがわれた”「育ってほしい姿」ではなく、1人1人の子どもの「育った姿」を大切にしながら、“その子からはじまり、その子にかえっていく”幼保小接続期の教育実践を期待する。
幼児期におけるp4cの可能性
- 遊びを通じた学びを対象化・社会化する。 →体験の経験化を促す。
- 言語能力を育んでいく。
→表現力と考える力を獲得する。 - 聞く力を育んでいく。
→集中力と思考力、想像力を高めていく。 - 道徳性・規範意識の芽生えを育んでいく。
→ルールを創り上げる。守ろうとする。 - 空想する力を育んでいく。
→ファンタジーを育む。
他、先生から歴史的な幼児期における対話的で深い学びをめぐる学習(学び)観の転換やphilosophyとscienceのお話もいただきました。
【研修Ⅱ】 参加者によるp4c体験
本日の問い:「安心するってどのようなことだろう 」
※参加者から事前に寄せられた問いの中から,対話をする問いを選びました。この問いを出された先生は,「クラスづくりや子どもの指導に取り組む中、安心できるクラスの姿ってどのようなものなのかな」と日々考えていたようです。学校生活における安心を中心にして皆さんと話してみたいということで対話がスタートしました。
〔各グループから〕
〇安心とは,一人一人が臆することなく自分自身を表現できることであり、正解ではなくても,それを受け入れてもらえる雰囲気や場所があり、仲間がいることです。
p4cには安心できるルールがありますが、日頃から安心できる雰囲気が醸成されるといいと思います。安心感を高めるために、大人であれば顔を覚え名前を知ることですし、幼い子には日常の小さなスキンシップも大切であると考えます。
〈Bグループ〉
〇安心できるクラスという視点で考えると、間違っても許されるクラス。『教室はまちがうところだ』の絵本を子どもたちにも読み聞かせ、まちがってもいいんだよ、ということを意識させています。
〇知っている友達がいて、何をやるかの順番がわかっていて、その空間での自分なりのリズムができあがっている状態が安心できること。
〇人との関わりがあるから、安心や不安という感情が芽生えてきます。安心ではなくなったら、他人と離れて一人になり、また人恋しくなったら戻ってみる、のように揺れ動く状態を人は繰り返していくかも知れません。
〈Cグループ〉
〇赤ちゃんは、親から話しかけられることで安心し、小学生は、話を聞いてもらうことで安心感が増すことから、年齢や発達段階によって安心の捉え方が違うのかもしれません。
〇ジェスチャーを交えて話を聞いてくれたり、自分を受け入れてくれているという実感が伴ったりした時に安心感が生まれることから、自分と相手の関係性によって安心の大きさが違うのではないかと思います。
〇一人一人安心の尺度は違います。その尺度いわゆる距離感がその人の安心につながるのではないかと思います。