宮城教育大学 上廣倫理教育アカデミー

    上廣倫理教育アカデミー

p4cみやぎ「p4cだより」no.57

令和7年2月12日

p4cみやぎ2月研修会報告

2024年度 第6回p4c みやぎ研修(オンライン)

 令和6年度最後のオンラインの研修会が行われました。
今回は、宮城教育大学教職大学院の3名の先生方が、「探究の対話(p4c)」を活用した実践報告をしていただきました。また、毎回新しい方が参加してくださり、今回は3名の方に御参加いただきました。
来年度も継続して研修会を開催してまいりますので、今後ともよろしくお願いします。


【研修Ⅰ】

講演1:「道徳科の授業とp4c、教科の授業への導入の可能性等について」
講師:宮城教育大学教職大学院 特任教授 岩田光世 先生


1 道徳科の授業とp4cについて
 (1)道徳科の授業への導入の意義
 ① 「思考力・判断力・表現力」の育成に資する
 ②「聴くこと」のできる生徒の育成に資する
 ※「議論する道徳に関連して
 (2)道徳科授業への導入の類型
 (3)道徳科授業への導入する際の考え方
2 今後に向けた実践の可能性


講演2:「情報教育と探究の対話(p4c)」
講師:宮城教育大学教職大学院 特任教授 菅原弘一 先生


◯授業パッケージの開発

1 生成AI の利活用に当たって、情報技術との向き合い方を自分ごととして考える授業の開発が必要であり、探究の対話(p4c)を取り入れた授業パッケージの開発を試みた。

2 中学校等での実践授業により、先端的な技術についての対話が、技術の理解や留意点の確認にとどまらず、人間を改めて分かり直すことにつながることが確認できた。

3 今後も、情報に関する仕組みの理解を伴いながら、倫理や安全性について対話を深める授業パッケージの開発を継続していく。


講演3:「p4c in 特別支援学級・通級指導教室」
講師:宮城教育大学教職大学院 特任教授 原新太郎 先生


○「人に めんこがられる 子ども」に育てたい
 →p4c で育てたい力「自己肯定感がある、人の話を聞ける、人の気持ちや考えが分かる、自分の考えを持てる、人に考えを伝えられる、人と信頼関係を築ける」

○小中高校の特別支援学級、通級指導教室の実践
 →・特性に応じた変更や調整を行うこと

・生活経験や人との関わりにつながるテーマを設定すること
・p4c を行う目的と教育課程での位置付けを明確化すること


【研修Ⅱ】 参加者による情報交換


〔各グループから〕

〈A グループ〉

〇p4cを取り入れた道徳の授業実践について、学習指導要領から価値の分析をして指導案を作成し、内容項目が生徒に分かりにくい時は、生徒がより身近に感じやすいテーマに変更して問いを作らせた例の紹介があった。その後「もしも不安を感じたらどうしたらいいですか」という中学生が対話した問いで参加者でp4cを行った。

対話では以下のことが話されました。
・だれかに相談する。それでももやもやが続くときは何かに自分の気持ちを書いて整理する。
・自分一人で抱え込まないで誰かと悩みを共有する。
・声やジェスチャーを交えてシミュレーションする。
・不安は誰しも持っている、不安を無くすのではなく向き合うことが大切なのではないか。

〈B グループ〉※問い「子どもは、生成AI を使ってはいけないのか?」

〇「分別」があるかないかで使用の可否が決まるのではという話題になったが、「分別」を測る尺度が不明である。

〇ある程度の年齢で使用制限することもあるが、まず、生成AI の仕組みを理解するところから考えなければならない。仕組みが分からないままの使用は危険である。

〇小学5 年生のp4c の中で、「宿題はやらなくてもいいか」という対話になった。子どもたちの考えのもとになっているのが、有名YouTuber やインフルエンサーと言われる人たちの考えが、もうすでに子どもたちの意見のベースになっていることに驚いている。

〈C グループ〉

〇特別支援学級では、朝の会でスピーチを行い、それに感想などを話させるやり取りを行っているが、形式的になりやすい。「おにぎり」というテーマでp4c を行ったら、自分の祖母が作るおにぎりが好き、お母さんがおにぎりをにぎってくれるなど、自分の周りの人への思いについて子どもたちから出てきて、その話に共感している様子が見られた。

〇知的障害学級では、p4c の対話は難しいのではと思っていたが、子供たちが話しやすいテーマを工夫することで、朝の会などを利用してやってみようという気持ちになった。また、原先生から「人にめんこがられる子ども」という話があったが、「めんこい」という言葉のもつ温かさがとても心地よく感じた。

HP    http://p4c-miyagi.com/

Mail    p4c@grp.miyakyo-u.ac.jp